小林恭子

ビッグデータの特質が語られる中で、驚くのは、データは「何故」を示さないという指摘だった。人間が物事を考えるときに「何故か」を普通に考えてしまうのとは対照的だ。つまり、人間はついつい、因果関係を考えてしまう。それが癖になっているのだ。 ところが、データは因果関係を考えない。データが扱うのは、「何が」という部分のみだ、と本は説明する。 例えば、ある道路を「毎時間、xxx台の車が走る」ということのみをデータは示す。「何故、xxx台の車が通るのか」を示さない。因果関係を見つけるのは、データを扱う人間なのだ。 著者が、「ビッグデータはこんなこともできる!」とほめあげたくて書いたのか、それともビッグデータの危険性の警告をしたくて書いたのか、気になった。 そこで、クキエさんに会った時に、聞いてみた。すると、「僕はビッグデータの活用を人に勧めているわけではないよ」、「あばたもえくぼでほめるつもりはない」という答えが返ってきた。 人間はデータに操られる必要はない。データを使うのはあくまでも人間ー私はこの本を読んで、そんなメッセージを受け取った。